第1回 ダグ・ハマーショルド ~深謀遠慮 国連の予防外交~ (1)

序文

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これは、国際連合のバブリックロビーの東側に設置されたフランスの芸術家、マーク・シャガールによってデザインされたステンドグラスです。
1961年にコンゴでの平和維持活動中に飛行機事故で亡くなった第2代国連事務総長のダグ・ハマーショルド氏ならびに15名の記念碑として、マーク・シャガール自身と国連スタッフにより1964年に寄贈されました。

この幅15フィート、高さ12フィートの記念碑には、たくさんの花の中から現れた天使の顔にキスされている小さな子どもたちなど、平和と愛を象徴するいくつかのシンボルが描かれています。左側そして母親たちのまわりには、平和を求め、もがいている人々の様子が描かれています。

 

人類史は戦いの歴史 フロイトとアインシュタインの往復書簡

「汝、平和を欲するなら、戦いに備えよ」-ローマ帝国の軍事学者ウェゲティウス

「平和な時代」は、「次の戦争のための準備期間」といわれるように人類は、戦争と平和の歴史を繰り返し経てきました。
「戦い」という言葉や戦いの描写が狩猟採取の時代の壁画から、現代の歴史年表にいたるまで枚挙にいとわず登場するのを見るに、人類の歴史において戦争がいかに強い普遍性を持っているかが伺えます。
人類史とはすなわち、戦いの歴史と言い換えることもできるかもしれません。

人類の歴史を見るに、戦いが起こるのほうがむしろ自然であり、戦争や争いが起きないのは不自然であると考えることもできるのかもしれません。

 

人はなぜ戦うのか、その原因を人間の心に求めた人物がいます。
20世紀の物理学において誰もがその名を知る、アルバート・アインシュタインです。

1932年 アインシュタインは、国際連盟の依頼で1通の手紙を書きました。
手紙に書かれた内容は「人は、なぜ戦争を行うのか。人類を戦争の脅威から、救う方法はあるのか。」というもので
宛先は、20世紀のドイツの心理学者で精神分析家であったフロイトです。

この問いかけを受けたのは、フロイトはこう答えます。
「人間は、もともと憎悪と破壊を求める欲望を自らの内に持っている。」

フロイトは、精神分析家として、人間には根源的な心の働き「欲動」があるとし、これを2つに大別しました。
それが、「生の欲動」と「死の欲動」です。

「生の欲動」とは、他者とつながり人を愛すること
「死の欲動」とは、他人を攻撃し、破壊すること

フロイトは、この欲動が、人の心には同時に存在しており、これが常に人間の行動を促しているのだと考えていました。
そして、この根源的な欲求が、人間の集合体である国家のレベルにも影響し、戦争を引き起こす大きな動機となっていると。

フロイトは、この欲動が存在するとする根拠として
「歴史においても日常生活においても、数限りのない残虐行為が行われてきたことがこの欲動の存在と強さを証明しています。」
と語りました。

「では、この攻撃的欲動を人間からなくすことができるのか。」という問いかけに対して

フロイトはこう語ります。
「死の欲動の力は常に、自己に向かっても働きかけているため、この力を押さえつけ続ければいずれ、その力によって自己を破壊してしまうことにつながるだろう。
死の欲動の力を、外部の世界での破壊に使うことは、自身にとっては、負担が軽くすることにつながり、他者を攻撃することもすなわち自己が破壊されるのを阻止するための手段でもある。
よって人間から、この攻撃的な欲動を取り除くことはできない」と語りました。

現代日本と国連

昨今、日本では、安全保障関連法制を巡り、数十年ぶりともいえるほどの議論が巻き起こりました。
政府与党は、海外で自衛隊が他国軍を後方支援できるようになる「国際平和支援法」を1新法をはじめとして、在外邦人救出や米艦艇の防護および武器使用基準の緩和した「自衛隊法の改正」
「これまで「周辺事態」とされていた文言を「重要影響事態」へと変更し、日本のために活動するアメリカ軍や他国軍へ弾薬提供や兵士輸送などの後方支援が出来るようになる。「重要影響事態安全確保法」」
PKO以外の自衛隊による海外での復興支援活動を可能とする「国際平和支援法」等、1新法と10個法案の改正を可決し、衆参両院の賛成多数で可決されました。

このうちの、いくつかの法案は、日本が国際平和のための活動を目的として立法されたものです。
世界の国際平和の活動の中心は各国の政府と軍隊、そして、民間人・警察・軍人からなる国連(国際連合(United nations))です。

また、現在、ニュースでも多くとりあげられているシリアの難民問題についても、前世紀から繰り返されてきた難民のための機関が設立されています。

ですが国連にも問題とされている事はとかくたくさん存在します。

現在の国連については、日本国内においても、様々なことが問題提起されています。
・日本の国連分担金の拠出量
・拒否権などの圧倒的な特権を持つ常任理事国の存在
・第二次世界大戦を枢軸国として戦った国に対する不平等な敵国条項
・現国連事務総長である潘基文氏に対する言動ついての評価、役割を果たしているのか
・中東を中心に、国連の平和維持活動は機能不全に陥っているのではないか
など、挙げれば枚挙がありません。

今回は、その国連の第2代事務総長であったダグ・ハマーショルドという人物と、国の世界の安全保障に中心に「ダグ・ハマーショルド 深謀遠慮 国連の予防外交」と題して、国連の誕生から、現代に至る国連の活動について話をさせて頂きたいと思います。


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